聴導犬訓練研修

聴導犬の訓練研修に行ってきました!

昨年12月12日(土)日本聴導犬協会による施設、訓練見学と講演会に参加しました。
日本では盲導犬の認知度は高いですが、聴導犬、介助犬を知る人はまだまだ少ないのが現状。
盲導犬の数、約1,000頭に対し、介助犬は70頭と非常に少なく、認知度が低い事も頷けます。

介助犬、聴導犬を増やす為には、まず存在を知ってもらうこと。

皆様もあまり目にしたことの無い介助犬の訓練が、どのように行われていているのか。
家庭犬訓練に生かせるよう学習をしてきました。

 

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写真は長野県上伊那群にある日本聴導犬協会の訓練施設。

高速バスで新宿から約4時間。
自然に囲まれたとても静かな良いところでした。

施設はまだ新しくとても衛生的。
広々とした屋外での訓練スペースなど羨ましい限りでした。

 

 エクササイズ

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広々としたドッグラン。
犬たちは自由に走り回ったり、ふざけたり、穴を掘ったりとっても楽しそう。
この時間は吠えることもOK。
仕事中は絶対に吠える事が出来ない犬達。
ガマンさせてばかりでは無く吠えて良い時間とそうで無い時間をつくり、メリハリを付けて訓練するようです。

リンモカで言うプレイタイムの様なものですが、これも訓練です。

 

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しばらくすると、トレーナーが何度か呼び戻し、犬たちが集まってきます。
もちろんご褒美目当てで集合していますが、静と動を繰り返す事で、脳の活性化を促す効果があるそうです。
呼び戻しの練習にもなりますね。


リンモカでは、オモチャを目当てに駆け寄ってきて、みんなでオスワリ。
いつもやっている事でしたが、脳に効果があるとは‥勉強になります。


 

 歩行訓練

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写真はリードを付けての歩行訓練ですが、初めはノーリードでただ付いてくる練習。
ポールの周りを人が歩き、付いてきた子はご褒美がもらえます。


歩行訓練に参加する子もいれば、水を飲んだり、遊びまわっている子もいます。
そんな中で、人に付いて来ようなんて、ご褒美目当てだったとしても、立派なことです。

 

 音の鈍化

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この訓練は、音に鈍くなる為の訓練。
仕事中にクラクションを鳴らされたり、大きな声で話しかける人、災害などの非常事態。
耳の聞こえないユーザー様にとっては、このような場面も気づくことは出来ないでしょう。
どのような場面であっても介助犬は冷静な判断をしなければなりません。

写真では音は伝わりませんが、太鼓やシンバル悲鳴など実際に音をたてて訓練していました。
録音された物はいつもの音‥と慣れてしまいがち。
毎回違う音でも鈍感でいられる事は凄いことなんです!

 

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私たちがびっくりする程の大音量の中、豆まきのようにまかれたフードを冷静にゲットする犬達。
誰も吠えたり、隠れてしまったりすることはありません。

必要な音には繊細に。不必要な音には鈍感であることが大切なのだそうです。

例えば町中でカギを落としたとします。
町の騒音は知らせる必要の無い音。カギを落とした音は知らせる必要がある音。
という事です。
すばらしい!!

 フードアグレッション

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大きなフードボールにフードを入れて、皆で食べます。

通常、この様な方法でご飯をあげると、同じお家の子でも、所有欲からケンカになったり、ご飯を取り合ったりしますが‥

 

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この通り。
誰も奪い合ったりする事はありません。
中にはスペースが空くのを待っている子もいました。

この訓練は、食欲から起こる攻撃性や怒りを無くす為の訓練だそうです。
食への執着心から、食べ物を見ただけで怒りのスイッチが入ってしまうことも。
保健所などから引き受けた犬達の中には、十分な食事を与えられなかった子もいるでしょう。
慌てて食べなくても十分にご飯が貰えることを教える為、どんどんフードを足していきます。
足すときは人の手で追加し、人の手はご飯を追加してくれるもの。と教えます。
満足した犬はその場を離れ、別の犬が入ったり、別のフードボールへ移動していく犬など、
言わば、バイキング状態。
大満足で帰っていきました。
 

デモンストレーション

介助犬はユーザー様の希望に沿って訓練をします。
一番多い要望は「物を拾う事」だそうです。

拾う

日常生活で起こるちょっとした事。
例えば、スプーンを落とす。携帯を落とす。カードを落とす。など。
毎回、人に頼むことはユーザー様にとっては大変なストレスとなりますが、介助犬は何度スプーンを落としても喜んで拾い上げ、手元までもってきてくれます。

携帯電話を落とすデモンストレーションでは、車いすの下に落ちた携帯を、どのように拾えば良いのか犬自身が考え拾いあげていました。
車いすの前から拾えば良いのか、後ろから拾えば良いのか、犬自身に考えさせる訓練をすることで、色々な場面に対応できるよう訓練しているそうです。

カードを拾う時は、カードを傷つけず、くわえる力を加減して拾ってくれます。

物によって、場面によって、犬が考え行動する。
本当に素晴らしいです。

興味のある方は動画をご覧頂けますので、リンモカへお問い合わせください。
 

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携帯をどう拾えば良いか考えています。

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前から拾えないと判断し後ろに回って拾いあげました。

 

知らせる
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左の写真は目覚ましが鳴った事を知らせるデモンストレーションです。

目覚ましが鳴って、ユーザー様に知らせると、ユーザー様は「何?」とハンドサインを出します。
すると、音の方へ犬が導き音の原因を教えてくれるのです。
とても素早い反応でした。
このような、素早い反応が出来るのは、いつでも仕事を意識しているからなのでしょう。
リラックスしていたとしても、教えるべき音が聞こえると、スイッチが入るのかもしれません。

我が家の愛犬は、ゴハンをもらいそびれないように、耳を研ぎ澄ませているくらいsweat02
訓練を積んでいるとは言え、本当に頭が下がりますdown

その他にも、病院の待合室で名前を呼ばれた時に知らせたり、離れた人を呼んでくるなどの訓練もするそうです。

 

この後、有馬もと会長の講義を受け、大変良い勉強をさせて頂きました。
一般の方も施設見学が可能なそうなので、興味のある方はぜひ足をお運び下さい。

多くの介助犬が活躍できる日がくることを願っています。